プロロゴスでは、講座以外に無料相談を行なって、心理系の大学院入試を考えている方や勉強法に不安のある方のご相談に乗ってます。受講される方以外でも、うちは意外と暇なので、気になったらドシドシどうぞ..
ちなみにプロロゴスでは半数以上が社会人や他学科からの受験生だったりします。これは個人の塾で、細かいところまで指導しようとしているためでしょうか? そこで、社会人と他学科から心理系の大学院受験をする受験生のために勉強法をまとめてみました。基本的には、これまでブログに書いたものをまとめたものです。かなり長いですが、どうぞ。
大学院受験は、大学受験よりも大学ごと(大学院ごと)の問題傾向が違います。そのため、とにかく過去問を使って勉強するのが一番です。
過去問をまだ全部解き終わっていない人は、まずは過去問をやってみてください。入手していない人は、受験するかもしれない大学院の問題をすぐに入手してください!!
社会人や他学科からの受験生の場合は、過去問を見ても「よくわからない」「難しい」といった理由で、過去問を解くのを後回しにする人が多いのですが、やはりすぐに過去問をやってみてください。過去問は、自分の実力をチェックするものでなくて、大学の出題傾向を知るものと捉えてください。多くの大学院では、だいたい毎年同じような出題パターン、出題範囲の問題が出題されますので、今後、勉強を効率的に行うために、なるべく早く過去問にとりかかりましょう。
また、過去問を解いて分からなかった部分も必ずテキストや辞書などで調べて模範解答を作りましょう。よく「過去問の解答はありませんか?」と聞かれますが基本的にありません。なので、テキストを見ながら自分なりに考えて、模範解答を作ってみてください。
出題傾向については、例えば、毎年対象関係論のキーワードが出題されているとか、心理臨床の事例に対する論述問題がいつも出題されている、など大学院によって独自の傾向があります。
過去問を解くと、出題の傾向が理解できますので、まずは過去問を分析し特に出題されやすい範囲をこれからは重点的に勉強するようにしてください。
また、過去問で出題された問題そのものがほとんど同じ形で出題されることもありますし、類似した問題や関連キーワードが出題される可能性も高いので、過去問に沿って勉強することが大事です。
さて、過去問分析をして出題傾向を理解することはそれほど難しいことではないでしょう。
しかし、
「出題傾向が分かるんだけど、それに対してどんな勉強をすればよいか分からない」
という相談を受けることがあります。
どんな領域からどんな出題パターンで出題されやすいのかは比較的簡単に分析することができるのですが、ではその出題傾向に対して具体的な勉強法が思いつかずに戸惑ってしまうのです。
過去問のすべての問題を解き、模範解答を作成するのは基本ですが、出題されている問題と関連する用語や知識などを調べて勉強しましょう。
例えば、用語説明で「シャドウ」が出題されていた場合は、シャドウの定義を調べるだけではなく、「元型」の定義、そしてシャドウ以外の元型のパターンを調べ、それぞれについてしっかりと定義を書けるようにしましょう。
過去問用のノートを作り、そこにそれぞれの問題と解答、そして関連知識をまとめるというやり方をしている受験生も見かけますが、こういうふうに「過去問を使って勉強する」というのが最後の追い込みとしては最適です。
そして、こういった「過去問での勉強」と並行して、出題頻度の高い領域や出題パターンに沿った勉強をしましょう。
例えば、ユング心理学や精神分析からの出題が多い場合は、ユング心理学や精神分析の解説書を読んだり、臨床心理学のテキストの該当箇所を集中的に読みます。
また、論述問題などで、臨床事例に対する論述などがある場合は、心理臨床の事例が掲載されている本を読むのがいいでしょう。こういった論述問題では臨床心理学的な考え方ができているかどうかを見ていることが多いです。
関連テーマを扱っている新書を読むのもおすすめです。例えば下記の本は非常に評判のよい本なのでぜひ読んでみてください。
有斐閣の新・心理学の基礎知識は難易度も少し高いので、難関校以外ではこの本を全て勉強する必要はないと思いますが、問題形式になっているので論述対策としてもおすすめです。
もちろん、認知心理学や学習心理学など各領域の専門書を読むのが非常に望ましいのですが、受験まで時間がない人は上記の書籍から複数の本で勉強してください。
臨床心理士指定大学院の過去問を分析していると、多くの大学院が
を出題する傾向にあります。
つまり、こういう場合の対策としては
ということになります。おそらくほとんどの臨床心理士指定大学院は、これに該当すると思います。
それでは、ここでいう「心理学全般の基礎知識を浅く広く」とは実際にどれぐらいのレベルまで勉強すればよいのでしょうか?
だいたい心理学全般の基礎知識といった場合には
心理学入門テキストレベル
を想定していいと思います。
ただし、心理学入門と一口に言っても、本によって扱っている内容に多少の違いがありますので、知識の取りこぼしがないように、複数の心理学入門書を使って勉強するといいかと思います。
大学院受験の勉強法は、どうしたらいい?というのはよく聞かれますが、基本となるのはまず書くことです。書くことで以下のような効果があります
・文章力が鍛えられる
やはり文章力の向上にはなによりも書く回数を増やすことが大切です。書いているうちに書き方のコツなども身につきます。
・知識が身につきやすい
これは心理学の実験でも明らかになっていることですが、何かを暗記するときには、ただ単にテキストなどを読むだけでなく、それを実際に書いたりテストをしたりして「取り出す」訓練が効果的です。自分なりに知識を文章にまとめることは知識の定着という点でも理にかなった勉強法です。
文章力は数をこなせばある一定レベルまでは必ず向上します。また、大学院受験だけでなく、大学院でのレポートや論文作成、また実際に臨床心理士になった後にも文章を書く機会はこれからたくさんあります。是非とも、読みやすく分かりやすい文章を書けるように、少しでも文章を書く練習をしておいてください。
入試では多くの場合、「用語説明」や「論述問題」という形で出題されます。 そのため、用語をまとめておくことは大学院受験の勉強法としては必須の作業ですが、この時、各用語について以下の項目でまとめておくと便利です。
また、ジャンルごとに用語をグループ化しておけば、複数の心理療法を取り上げ比較しながら説明する、といった大学院受験でよくある問題形式にも対応できます。
用語をノートにまとめる際、テキストや辞書を見てもどれが定義なのか分かりにくいことがある、という意見を受講生の方からよく聞きます。具体的な定義の探し方については割愛しますが、いろんなテキストを見て1つの用語について2,3個は定義を探し出すといいと思います。そしてその中から一番自分が覚えやすい定義を覚えるようにしましょう
本を読む習慣は大学院を目指す人にとってかなり重要だと私は考えています。
経験的にも大学院に進学する人、研究者になる人は高確率で読書好きだったりします。
こういった人たちは、純粋に本を読むのが好き、活字が好き、知らないことを知りたいというのが根本的な動機なわけですが、読書は一般的に以下の2点で大学院受験にも役に立ちます。
1.論文や専門書を読む抵抗が少なくなる
受験勉強をするときや研究計画書を作成するときには、心理学の専門書や論文を読まなければいけません。特に慣れていないころは専門書や論文を読むのにかなりの労力が必要ですが、もともと活字を読むのに慣れている人は、そうではない人よりも読解力が高いため、比較的抵抗なく読み進めることができます。
2.分かりやすい文章が書ける
読書が習慣になっていると自分が何かを書く場合にもよい効果があります。
大学院試験での論述問題や研究計画書など、大学院試験では何かと文章力が必要となります。大学院進学後もレポートや修士論文の執筆などがありますから、大学院を目指すからには「何かを書く」能力は必須のスキルと肝に銘じておいた方がいいでしょう。
読書が習慣になっている人は、こういった文章力も自然に身につきやすく、また書くこと自体が嫌いではなかったりします。
上記の2点は、心理系大学院受験に限らず、文章力や読解力を身につける上でよく言われる読書の効果ですが、臨床心理士指定大学院の受験対策の勉強法としても、やはり読書は有効です。
特に臨床心理学領域の問題では、いわゆる専門用語の知識だけでなく、臨床心理学の考え方を問う問題が出題されることになります。こういった臨床心理学的な考え方を学ぶのに、読書の習慣が威力を発揮します。河合隼雄をはじめとする多くの臨床心理士や精神科医が一般向けに分かりやすく心理臨床について書いている本がたくさん出版されていますので、こういった本を息抜きに読むことは、臨床心理学の考え方を身につけるのにうってつけです。