1.大学院選びについて
大学院受験で必要なのはメタ認知だと、最初に講師の方に教えられましたが、受験を終わってみるとまさにその通りでした。社会人ともなれば、「自分が行きたい大学院」よりも、「大学院が求めている学生像に、どれだけ自分が合っているか」をイメージして、自分を客観視し、合致した大学院を選ぶこともまた必要とされているようです。
・社会人、学外生、他学部生の受け入れ状況はどうか?
・資格取得状況や、就職状況は?
・関心分野がニッチな場合、指導可能な先生はいらっしゃるか?
このような外には出にくい、ネットにも載っていない情報を得るには、自分の足で稼ぐしかありません。私は、気になる大学院の説明会参加や研究室訪問をし、できるだけ現役大学院生の方とお話して上記のような情報を入手するようにしました。またプロロゴスの教室でも、講師の方はもちろん、目標校の学部に通う現役大学生の方から情報を得るようにしました。
2.心理学用語や英単語の暗記について
残念ですが、若い頃に比べて明らかに記憶力は低下しました。できる限り毎日、無になって繰り返すことが結局、最短の暗記法でした。それに加えて、以下の方法で取り組みました。
・英単語・熟語、心理学の人名は、どうしても覚えられないものを無料の単語帳アプリに登録し、音声再生して耳から覚えるようにしました。受験直前期は溜まった苦手単語帳を繰り返していました。尚、英単語は余裕が出てきたら適宜、第二、第三の意味にも気を配りました。また、成句で使われやすいものは前置詞もセットで覚えると、構文を見抜く近道になりました。
※「単語帳メーカー」が、読み上げ機能の追加にオプション料金は発生しますが、使いやすくてお勧めです。
・心理学用語は、語句自体の暗記はもちろん、語句の説明が求められますので、説明に必要なキーワードと共に暗記しました。また、私の場合は時間もありましたので、ノートにまとめる方法を取りました。重要語句、キーワードは赤シートで消えるペンを使い、テストを繰り返しました。また、どうしても覚えられないものは、簡単なイラストを描いてストーリーのようにイメージしたり、語呂をつくって音とリズムで頭に入れました。暗記が進むと、縦方向にだけ進んでいた勉強が、横のつながりを持つようになります。これってあれの関連?この人、あそこでも出てきた!と、知識が横断的になってくる頃に、心理学が「暗記科目」から「楽しい学問」へと変わりました。
・自分一人で勉強するよりも、先生の話を聞いたり、受講生の方の回答を聞いたりすることの方が私の場合は印象に残り、なるべく講義を優先しました。
暗記には自分に合った方法があると思います。私の場合は「聴覚」「自己生成」「イメージ」「エピソード」を利用した方が暗記しやすいことに気付き、上記のように勉強に取り入れました。一般に言われる暗記法に捉われず、ご自身でやりやすい方法を選ばれると良いと思います。
3.心理学
頑張って心理用語を暗記してきた割に、最初は論述で何を書けばいいのかわからず、時間がとてもかかりました。最初はそんなものだから、という講師の方の言葉を信じて、テキストや志望校の過去問を繰り返していくうちに、記述には書式があること、問題のパターンがあることがわかり、制限時間内でなんとか記述できるようになりました。大事なのは、書いたら必ず講師の方に添削していただくことです。自信がない回答であっても、必ず確認していただき、フィードバックを得るようにしました。
また、心理学の過去問を解いていると、オーソドックスな問題、重箱の隅をつつくような問題、基礎知識の一段上をいく応用問題と傾向が分かってきます。どの問題にこだわればいいのか最初は分かりませんでしたが、講師の方を頼りつつ取捨選択をしていきました。
4.英語
独特な論文をどう訳していいのか最初はさっぱりわからず、単語も「study」を「研究」と訳すの?というレベルで、文法事項もかなり忘れていたので、最初は文法書を見返しながら訳していました。目標時間の2~3倍はかかっていたと思います。
4~5か月は苦労しましたが、心理院単と、大体の文法パターン、また心理学を覚えた頃に、ようやく制限時間内で回答することができるようになりました。しかし、今度は焦りからか、単語の取り間違えが増えていることを講師の方に指摘され苦労しました。一人で勉強していたら気付かなかったと思います。
英語に関しても、過去問題を解いたら必ず添削していただいていました。客観的に、合格圏内かどうか早めに教えていただき、それを目安に勉強していました。
また、英文精訳型・速読型、英作文など出題形式に合わせた対策が必要です。私の場合、英文精訳型の一校目の受験後、二カ月の猶予を利用して速読型+英語の心理学用語の書き取りを出題する二校目の対策をしました。また、自分の苦手な「倒置・省略」といった英文法の難所の理解を問う和訳問題が多かったため、そこをカバーできそうな大学入試用問題集を一周しました。
5.研究計画について
研究計画は20本ほどの関心分野の論文に当たり、モデルとなる先行研究にたどり着き、これを参考に形にしました。卒論を書いていないので、正直どんなものなのかイメージしきれていないことだらけ。実現可能性、意味があり、未だ言及されていないテーマを探すのは苦しい作業でした。面接で突っ込まれそうなポイントなど講師の先生方に細かくご指導いただき、他の受講生の方の意見も貰いながら一月ほどで出来上がりました。
本番直前は、どんな質問が来るか推理しながら、先行研究を確認し直しました。どんなに準備しても、教授陣はプロですから必ず穴を見つけて指摘してきます。一校目の面接では駄目出しを沢山されて落ち込みました。指摘された点は他校でも同様に突っ込まれる点です。思い出したくない気持ちを抑えつつ、面接での駄目出しを一つ一つ修正する作業をしましたが、これが二校目で大変役に立ちました。
6.面接について
面接では、そもそも臨床心理士としての適性を確認されるようです。なぜ心理学なのか、なぜ臨床心理士・公認心理師なのか?それを踏まえて、なぜその大学院なのか?に対しての一貫した答えが要求されます。加えて、社会人は職歴との関連性、なぜキャリアを断ってまで心理職を目指すのかという点を確認されます。私の職歴は心理職に無関係でしたが、心理的社会問題に問題意識を持つきっかけとなった、業務上の体験について整理しました。話す内容が定まった後は、スマホに録音して繰り返し修正していきました。
長くなりましたが、要はやはり、大学院受験は「メタ認知」が大事!ということです。自分一人では自分自身の弱点や強みにここまで気付けませんでした。また、プロロゴスの課題、過去問、面接練習と、当たり前のことを当たり前にする胆力も重要のようです。
と、偉そうなことを書いていますが、本番では体調を崩したり、思わぬミスをして、受験後はどっぷり落ち込みました。直前期にやる気が出ず、五日間連続で勉強が手につかなかったこともあります。そんな時も、気さくでいつも受講生一人一人に目を配っていらっしゃる山崎先生には、心理的な面でも本当に助けられました。本当にありがとうございました。
講師からコメント
Aさんは、勉強熱心で、予習復習もしっかりと行い、毎回必要なところをきっちり仕上げてきていたので、安心しながら見ておりました。
また、当初は他学科のまま心理系の大学院に進まれると相談されたので、1年余分にかかるけど(3年次編入すれば、4年次は院試の対策と並行できる)通信制の大学で公認心理師の資格も取った方が良いというアドバイスをさせていただき、通信制の大学での単位取得と仕事と大学院入試を両立させながらも無事合格しました。
入試対策の事前の準備、研究計画書の作成、面接の練習など、やるべきことをきっちりとこなしていくAさんは合格すべくして合格したな、と思います。